Ep.1-2 -その男、凶暴につき-
かくして、旅に出発した美沙子であったが、行くあてなどある訳もなく、とりあえず歩いていた。
美沙子「ん~、旅してくるとは言ったものの、どこ行こう...。 まぁ、とりあえず貯金も350万あるし、どうにかなるっしょ! とりあえず小松島まで出て海に出よう。 船で旅するって前々から計画してたんだよねぇ♪ あっ、でも旅=冒険だからまずは森にでも行ってみよう! よし、森だあぁ!」
ひとまず美沙子は森を散策してみることにした。
美沙子「そういえばここ、昔良く遊んだ気がするなぁ...。 懐かしいなぁ...♪」
とりあえず森の中を進む美沙子、とその時
美沙子「うわぁ! 何だっっ?!」
(ぶらんぶらん...)
美沙子「うわっ、何だよこれ?! これ、猪とか捕まえるトラップじゃん! 誰だこんな所に仕掛けたバカは?! 出てこい! 説教してやる!😠」
野生動物を捕獲する為に張られたロープに捕まってしまった美沙子。 宙吊りのまま木の上に誰かがいる事に気づいた。
美沙子「あぁぁぁぁ!! お前か?! これ仕掛けたの! 早く解けよ! アタシはお前の朝飯じゃねぇぞ!!😠」
木の上にいたのは男だった。
謎の男「あっ? 何だお前。 そんな古典的な罠に掛かる人間なんているのかよ(笑) 今解いてやるよ、待ってろ。」
男はそう言うと下りてきて美沙子の縄を解いた。
美沙子「ったく、古典的って、アンタこそ今時何やってんの?! そこら中にコンビニでもファミレスでもあるじゃない! それとも趣味か何か?!」
男「いいや、趣味じゃなく、飯の調達だ。オレは人混みが嫌いなんだ。 邪魔だしうるせぇ、さっさと消えなお嬢ちゃん。」
美沙子「さっさと消えなって.... まず謝んなさいよっ! あんた何様?!」
男「知るかよ。 引っかかったテメェが悪ぃんだろうが。 わかったらさっさと行け。 あばよ。」
美沙子「やだね! アンタが謝るまでアタシ、ここから動かないから! アンタ名前は?!」
男「人の名前が知りたきゃ、まずテメェが先に名を名乗れ。 それが常識じゃねぇのか?」
美沙子「あっ、それもそうか...。 それは...ごめん...。 アタシの名前は三浦美沙子。」
男「あぁそう。 オレの名前は野口竜一(のぐちりゅういち)だ。」
美沙子「野口竜一.....(どこかで聞いた気がする。) えっ、アンタまさか...あの四年前にあった殺人事件で逮捕された....。」
竜一「あぁそうさ。 だったら何だよ? オレが恐ぇか?(笑) なんならテメェも始末してやろうか?(笑)」
だが、美沙子は妙に落ち着いていた。
美沙子「やっぱり....何で殺人犯がこんな所に? アンタには死刑の判決が降りたはずじゃ...。脱獄? いや、ニュースではそんなの流れてなかった....。 なら何でアタシの目の前に殺人犯が?」
竜一「司法取引だ。」
美沙子「司法取引? どういうこと?」
竜一「ある条件と引き換えにシャバに出てきた。ただそれだけのことよ。」
美沙子「そんなマンガや小説みたいな話、ホントにあるの?」
竜一「あるからお前の目のにいるんだ。」
美沙子「そうなんだ....。そんな事、本当にあるんだ....。」
竜一「もう用は済んだだろ? さっさと消えな。」
美沙子「いや、アタシは旅に出たんだ。今その途中なんだ。」
竜一「だったら何だよ? 旅してるなら歩を止めるなよ? ほら、さっさと行け。」
美沙子「仲間が欲しい。 竜一だっけ? リュウって呼べばいっか。 リュウ、お前アタシの仲間になれ。😄」
竜一「はあぁぁぁ?! お前の仲間?! ふざけろよ?(笑) 第一、お前ハンターなのかよ?」
美沙子「ハンター? 何それ?」
竜一「けっ、世間知らずのクソガキが。 オレはな、イレギュラーハンターってのになる代わりに、シャバに出てきたんだよ。 それが司法取引だ。」
美沙子「イレギュラーハンター....? 聞いた事ないな...。詳しく教えてくれないか?」
竜一「ったく、何から何まで面倒くせぇガキだな。 イレギュラーハンターってのはよ、国家の裏組織よ。 暗殺部隊みてぇなもんよ。 殺しで金を稼ぐ。 オレにピッタリな仕事よ。」
美沙子「殺しで金稼ぎ...? そんな映画みたいな仕事ある訳ないだろ! ふざけるのもいい加減にしろ!」
竜一「ふざけてなんかいねぇよ。マジなやつよ。お前もやるか?」
美沙子「っざけんな! 人殺ししてお金なんてもらいたくない! でもリュウは仲間にする! もう決めた! アタシに付いて来い!」
竜一は美沙子の胸ぐらを掴んでこう言った。
竜一「キレイゴト抜かしてんじゃねぇよクソガキ! 自衛隊も海保もお巡りも、所詮公認の人殺しよ。 金になりゃあ何だっていい!」
竜一はそう言い放った。
美沙子「たとえどんな理由があろうとも、人を殺めていい人間なんていねぇ...! どんな人にでも明日を生きる資格があるんだ!」
美沙子は反論した。
竜一「だからそれがキレイゴトっつってんだよ! それにな、ハンターってのは、討伐依頼ってのが国から出て、そのターゲットのみを殺(や)るんだよ。 そして、その討伐レベルに応じた報酬もらう。 それがオレの仕事だ!」
美沙子「えっ....それって...凶悪犯とか事件の制圧とかってこと....?」
竜一「あぁそうだ! それで金稼いで何が悪ぃ? 言ってみろ!」
美沙子「リュウ、わかったからとりあえず手放して。」
リュウは美沙子の胸ぐらから手を離した。
美沙子「リュウ、言い方が悪いよ。 それってつまり......正義のヒーローじゃあぁぁぁぁん!!!✨」
美沙子は急に目を輝かせた。
竜一「(どこまでバカなんだこのガキ...。)」リュウは呆れていた。
美沙子「ねぇリュウ、そのイレギュラーハンターって、どうやってなるの?」
美沙子は目をキラキラさせながら訊ねた。
竜一「ハンターになる方法は2つ。 国から声がかかった者のみが試験を受けて合格するか、既にハンターの人間に弟子入りして候補生になって試験を受けて合格、この2つだ。」
美沙子「マジ? じゃあアタシのこと弟子にしてよ!✨ 何でもするからぁ! オ・ネ・ガ・イ♥」
美沙子は懇願した。
竜一「(なんなんだよ気持ち悪ぃな。) わかったよ。 お前を候補生としてオレの下に付ける。 連絡するから少し待ってろ。」
そう言うと竜一はその場から少し離れた。
美沙子「やったー!ありがとー! ✨ワクワクするぅ! 何か急に冒険っぽくなってきたぞぉ!」
数分後....
竜一「登録完了だ。 いきなり実戦の可能性もある。覚悟しとけよ。次のイレギュラー討伐資格試験は7月だ。それに合格すりゃあお前もイレギュラーハンターだ。」
美沙子「わかった。アタシ頑張るよ! 一発合格する!」
竜一「まっ、せぇぜぇ頑張れや。」
かくして、ハンター候補生となった美沙子。 しかし美沙子は、この先に数々の強敵達が待ち受けていようとは、知る由もなかったのであった...。
To be continued...