Black Dragon Ep.1-1 -出発(たびだち)の時-

「ねぇ、アタシ、日本一強い女の子になりたいから旅に出たいんだ!! だから就職はしない!」

 

そう言ったのはこの物語の主人公、三浦美沙子(みうらみさこ)。 徳島県徳島市生まれの至って普通の家庭で育った女の子である。

 

この物語は、主人公美沙子とこれから出会う幾多の仲間達の物語である。

 

2035年3月、来年3月に大学卒業を控え、周りは就職活動に奔走していた。 しかし美沙子は、両親にそう言い放った。 もちろん両親は猛反発。 許可など下りる訳もなく、少々ギクシャクしていた。

 

それでも美沙子は断固として曲げなかった。 しかしなぜこんなことを言い出したのか? 実は美沙子の父は、極真空手の師範代で、炎帝流(えんていりゅう)という流派の創設者なのだ。 故に美沙子は幼い頃から空手をやっており、未だに無敗を誇っている程優秀な空手家なのだ。 誰が呼び始めたのか、「アイツは勝利に飢えた狼だ。」と言い始め、いつの間にか"拳狼(けんろう)の美沙子"と誰もが恐れたのは記憶に新しい。 そしてかつて父である三浦玄海(げんかい)はこんなことを言っていたのだ。

 

「やるからには全力で、必ず一等を獲れ!! お前の好きな様に、自由に生きて、一番になってみろ!!」

 

幼い頃言われたこの言葉が、未だ胸に刻まれ、自由を選んだ結果がその意見だったと言うワケだ。

 

しかし文武両道、才色兼備、容姿端麗で成績も優秀だった美沙子が就職もしないなど、父が許すはずもなかった...。

 

「このたわけが!! お前は気でもふれたのか?! 大人しく海保や自衛隊に入って、お国の為に尽力せよ!! 人様の役に立つ事をやらんかいこのボケ!!」玄海はそう言った。

 

それもそうである。 しかし美沙子は断固として拒否。 母親はあまりにも頑なな決意に遂に折れた。 2036年3月のことである。

 

そんなこんなでギクシャクしたまま、4月1日を迎える事となった。

 

美沙子「じゃあお母さん、アタシ行ってくるね!」

 

母君江は言った。 「お父さんね、あぁは言ってるけれど、美沙子が心配で心配で仕方がないのよ(笑)だからね美沙子、嫌になったらすぐに帰っておいで。 お母さんお父さんと待ってるから。」

 

美沙子「わかったよ。でも、アタシはアタシが日本一強いって証明ができるまでは絶対に戻らないよ。 それは5年後かもしれないし、30年後かもしれない。 でも、たまには電話するよ。 だから心配しないで。」

 

君江「はいはい、わかりました(笑) 気をつけて行ってらっしゃいね。」

 

美沙子「おう! 必ず強くなって帰ってくる! じゃあ、またね!!」

 

そう言って美沙子は玄関を出た。

数歩歩いて立ち止まった。

 

美沙子「お父さん! 今までお世話になりました!! 必ず強くなって帰ってきます!! だから心配しないで待ってて下さい! 行ってきます!」

 

玄海からの返事は無かった。

 

こうして旅に出発した美沙子、一体彼女にはこの先、何が待ち受けているのだろうか...。

 

いよいよ美沙子最強への道がスタートを切ったのであった。

 

To be continued....